播種性血管内凝固症候群(DIC):金沢大学血液内科試験問題より
前回の記事同様に、先週の金沢大学血液内科試験問題の解説を続けます。
今回の問題は、正答率86%でした。これも、まずまずの正答率のようです。
播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する記載として誤りはどれか.1つ選べ.
(a) 急性前骨髄球性白血病に合併したDICにおいては,血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する.
(b) 腹部大動脈瘤に合併したDICにおいては,血中FDPが著増する.
(c) 敗血症に合併したDICにおいては,血小板数が著減する.
(d) 線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC)においては,血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増する.
(e) 線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)においては,血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が著減する.
解説
(a) 急性前骨髄球性白血病(APL)では、線溶亢進型DICを合併します。血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は著増します。参考:DIC(治療ほか)
なお、DICに関しましては、DIC(図解)で分かりやすく記事にしていますので、ご参考となれば幸いです。
(b) 腹部大動脈瘤では、線溶亢進型DICを合併します。FDPは著増します。
(c) 敗血症に合併したDICにおいては,血小板数が著減します。しばしば、時間単位で血小板数が低下します。
(d) どのようなDICであっても、著明な血管内凝固活性化がみられます。ですから、全てのDICで、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増します。
なお、血液凝固検査に関しては、血液凝固検査入門で分かりやすく図解で記事にしていますので、ご参考となれば幸いです。
(e) 敗血症に合併した場合のように、線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)においては、線溶阻止因子である血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が著減ではなく著増します。
正答:(e)
凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:08| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)