金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年09月14日

血液凝固の機序:医師国家試験対策

血液凝固因子:国試対策より続く

 

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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(3)


血液はなぜ凝固するのか?

凝固系カスケードの存在

止血:生体の重要な生理的反応

血栓:心筋梗塞, 脳梗塞に代表されるように生体にとって不都合な病態。
→ しかし、両者は同じような機序により生じる。

 

血液凝固の機序

(1)内因系凝固機序:異物(陰性荷電)による凝固。

この機序に障害は、血友病、von Willebrand病、ビタミンK欠乏症など【重要】

(2) 外因系凝固機序:組織因子(TF)による凝固。

この機序に障害は、ビタミンK欠乏症など【重要】

 

血液凝固に必要なもの

 1.  血小板:リン脂質が凝固反応の場を提供する
 2.  凝固因子:最終的にはフィブリンが形成される
FXII、XI、IX、VIII、VII、X、V、II、I & XIII
 3. 組織因子(TF)
 4. カルシウムイオン


止血・血栓のステップ

血小板の粘着:von Willebrand factor(vWF)が必要

血小板の凝集:フィブリノゲン(Fbg)が必要

血液凝固(フィブリンの形成): 血小板膜リン脂質を反応の場

 

血液はなぜ凝固しないのか?

血管内皮の抗血栓作用
1. トロンボモジュリン(TM):トロンビン・TM複合体はProtein Cを活性化(補酵素として Protein S 必要)
2. ヘパリン様物質(ヘパラン硫酸):AT,TFPIが結合
3. PGI2(プロスタサイクリン):血管拡張作用、抗血小板作用
4.一酸化窒素(NO):4.と類似の作用
5. 組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA):線溶


【参考】流血中の抗血栓因子

1. アンチトロンビン(AT):ヘパリンで活性増強
2. プロテイン C(PC):ビタミンK依存性蛋白
3. プロテイン S(PS):ビタミンK依存性蛋白
4. 組織因子経路インヒビター(Tissue factor pathway inhibitor:TFPI)

 

(続く)

血液凝固カスケード

 

凝固検査&DIC

1)血液凝固検査入門(図解)

2)DIC(図解)

3)DIC(治療ほか)



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:11| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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