特発性血小板減少性紫斑病:医師国家試験 問題対策
Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病) :医師国家試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(13)
特発性血小板減少性紫斑病【頻出疾患】
(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)
血小板に対する自己抗体が産生され、血小板の破壊(脾で)が亢進し、血小板寿命は短縮し出血傾向をきたす。
小児科領域では,先行感染を伴った急性型が多いのに対して(しばしば自然治癒する)、内科領域では、先行感染のない慢性型が多い(女性に多い)。
【症状】
・点状出血、粘膜出血など。
【検査&診断】
・血小板数の低下(PT&APTTは正常)。
・他血液疾患の除外(除外診断)。特に,MDSは確実に否定すること。
・骨髄巨核球の増加!【骨髄像必出】末梢での血小板破壊に対する反応
・血小板結合性IgG(PAIgG)の上昇。
【治療】【頻出】
必ずしも早期診断・治療が当てはまらない。
1)血小板数が数万以上では無治療で経過観察.
2)血小板数が2-3万以下で出血があれば、副腎皮質ステロイドがfirst choice。長期的寛解率 30-40%.
3)無効例では,摘脾術を考慮する。長期的寛解率 60%。
摘脾術に際して,免疫グロブリン大量療法.
IgGのFc部分が網内系細胞のFcレセプターをブロックするため,感作血小板の補足が抑制され,血小板数が増加.
4)免疫抑制療法も試みられる.
5)ピロリ菌の除菌療法:最近の、ITP治療のトピックス。今や、ITPの第一選択の治療か。
6)血小板輸血:できるだけ避けたいが,緊急治療.
(補足)ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併あり。摘脾術時の術後血栓症に注意。
偽性血小板減少症 【血液像既出】
EDTA存在下でのみ血小板が凝集.
知らないと,ITPと誤診される.
病気ではない!!出血なし.骨髄穿刺不要!!
対策:
・臨床症状との解離に注意.
・血液塗抹標本で、多数の血小板凝集像の確認.
・EDTA以外の抗凝固剤(例:ヘパリン, クエン酸ナトリウム)で、血小板凝集塊の形成がなくなる。
(続く)
循環抗凝固因子(第VIII因子インヒビター)などへ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:33| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)