金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2009年09月24日

特発性血小板減少性紫斑病:医師国家試験 問題対策


Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病) :医師国家試験対策から続く。

医師国家試験問題対策インデックスページ)へ ← 国試対策インデックスページの記事にリンクしています。

 

<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(13)

 

特発性血小板減少性紫斑病【頻出疾患】
(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)

血小板に対する自己抗体が産生され、血小板の破壊(脾で)が亢進し、血小板寿命は短縮し出血傾向をきたす。

小児科領域では,先行感染を伴った急性型が多いのに対して(しばしば自然治癒する)、内科領域では、先行感染のない慢性型が多い(女性に多い)。


【症状】

・点状出血、粘膜出血など。


【検査&診断】

血小板数の低下(PT&APTTは正常)。
・他血液疾患の除外(除外診断)。特に,MDSは確実に否定すること。
骨髄巨核球の増加!【骨髄像必出】末梢での血小板破壊に対する反応
・血小板結合性IgG(PAIgG)の上昇。


【治療】【頻出】
必ずしも早期診断・治療が当てはまらない。

1)血小板数が数万以上では無治療で経過観察.
2)血小板数が2-3万以下で出血があれば、副腎皮質ステロイドがfirst choice。長期的寛解率 30-40%.
3)無効例では,摘脾術を考慮する。長期的寛解率 60%。
      摘脾術に際して,免疫グロブリン大量療法
IgGのFc部分が網内系細胞のFcレセプターをブロックするため,感作血小板の補足が抑制され,血小板数が増加
4)免疫抑制療法も試みられる.
5)ピロリ菌の除菌療法:最近の、ITP治療のトピックス。今や、ITPの第一選択の治療か。
6)血小板輸血:できるだけ避けたいが,緊急治療.

(補足)ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併あり。摘脾術時の術後血栓症に注意。



偽性血小板減少症  【血液像既出】

EDTA存在下でのみ血小板が凝集. 
知らないと,ITPと誤診される
病気ではない!!出血なし.骨髄穿刺不要!!

対策:
・臨床症状との解離に注意.
血液塗抹標本で、多数の血小板凝集像の確認.
・EDTA以外の抗凝固剤(例:ヘパリン, クエン酸ナトリウム)で、血小板凝集塊の形成がなくなる。





(続く)
循環抗凝固因子(第VIII因子インヒビター)など


 【関連記事】

血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

金沢大学第三内科HPへ 

金沢大学第三内科ブログへ 

研修医・入局者募集

研修医の広場金沢大学第三内科 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:33| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

◆この記事へのコメント:

※必須