金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2009年09月28日

高Lipoprotein(a)[ Lp (a) ] 血症など:医師国家試験 問題対策

 

抗リン脂質抗体症候群 :医師国家試験対策から続く。

医師国家試験問題対策インデックスページ)へ ← 国試対策インデックスページの記事にリンクしています。

 

<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(17)

今回の記事は、血液内科(血栓止血領域)にも関連がありますが、内分泌・代謝内科など他の領域とも関連があります。ですから、血液内科以外の範囲として国家試験に出る可能性もあるかと思います。

 

高Lipoprotein(a) (Lp(a)) 血症

1. 虚血性心疾患、脳梗塞といった動脈血栓症の独立した危険因子として知られる。

2. また,肺塞栓(PE)、深部静脈血栓症(DVT)の危険因子としても知られている。

3.  Lp(a)の構造の一部が、線溶因子であるプラスミノゲンと相同性が高いため、拮抗的に作用し、線溶抑制状態となる。

4. 血中濃度は遺伝的に決定され、環境因子による影響はうけにくい。

 

高ホモシステイン血症

1.  動脈 & 静脈両者の血栓症をきたす。

2.  血栓傾向の機序は不明。ホモシステインが血管内皮のトロンボモジュリンの発現を抑制、逆に組織因子の発現を亢進など。

 

高PAI血症(PAI:plasminogen activator inhibitor、プラスミノゲンアクチベータインヒビター)

1. PAIは血管内皮から産生される線溶阻止因子

2. 高PAI血症は,虚血性心疾患,または深部静脈血栓症などの静脈血栓症の危険因子。

3. PAIの日内変動:早朝に高値となる。虚血性心疾患が早朝高頻度の発症する原因か? 国試には出ないが興味深い。

4. 中性脂肪,肥満度,高インスリン血症と正相関.

 

悪性疾患

1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の基礎疾患の一つ。癌細胞由来の組織因子。
2. Trousseou症候群:遊走性血栓性静脈炎の合併.

 

敗血症

1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の基礎疾患の一つ。

2. LPSやサイトカイン(IL-1, TNFなど)の刺激により、単球&血管内皮由来の組織因子、PAIの発現が亢進する。

3. 血管内皮上のトロンボモジュリンの発現が低下する。

 

ネフローゼ症候群

尿中に凝固阻止因子であるアンチトロンビンの排泄が亢進.静脈血栓症がみられやすい.

 


(続く)
ヘパリン誘発性(起因性・依存性)血小板減少症(HIT)
などへ



 【関連記事】

血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

金沢大学第三内科HPへ 

金沢大学第三内科ブログへ 

研修医・入局者募集

研修医の広場金沢大学第三内科 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:06| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

◆この記事へのコメント:

※必須