医師国家試験対策:統合試験過去問より(出血性素因)
金沢大学医学部の統合試験過去問の紹介と解説の記事を続けます。
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臨床問題
25歳女性。出産時に大出血をきたしたため、精査目的に来院した。幼少時から鼻出血をきたしやすく、妹も頻回に鼻出血がみられている。血液学的検査:白血球 6,700、赤血球 322万、Hb 11.2g/dl、血小板 25.8万、ALT 23単位、クレアチニン 0.8mg/dl、LDH 243単位(基準176〜353)、出血時間18分(基準7分以下)、PT 11.8秒(基準10〜14)、APTT 63.2秒(基準対照32.2)、FDP 4μg/ml(基準10以下)、CRP 0.1 mg/gl(基準0.3以下)。
次回に早急な止血を必要とする出血がみられた際に、用いるべき治療薬はどれか。1つ選べ。
a DDAVP
b 濃厚血小板
c 新鮮凍結血漿
d ビタミンK製剤
e 第IX因子濃縮製剤
【作問のねらい】
幼少時からの鼻出血、妹にも出血傾向(遺伝性疾患)、出血時間延長(血小板数正常)、APTT延長(PT正常)より、von Willebrand病と考えられる。
DDAVPには、血管内皮からvon Willebrand因子を放出させる作用があり、von Willebrand病の止血目的に用いられている。
濃厚血小板は血小板数低下はなく不要、新鮮凍結血漿は全凝固因子が低下した病態(肝不全など)での凝固因子補充目的に使用、ビタミンK製剤はビタミンK欠乏症に使用、第IX因子濃縮製剤は血友病Bに使用する。
なお、von Willebrand病の止血目的にDDAVPが用いられることについては、国試既出である。
【正答】 a
【シリーズ記事】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:28| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)