医師国家試験対策:統合試験過去問より(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)
金沢大学統合試験過去問の紹介と解説の記事(医師国家試験対策を兼ねる)を続けます。
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臨床問題
64歳、男性。上腹部不快感のため近医で胃カメラを受けたところ、胃体部後壁に、浅い潰瘍を伴う3cm大の隆起性病変が認められた。生検の結果、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。
1)予後推定のため行われる検査のうち必要ではないものはどれか。
a LDHの測定
b 腹部CT
c 耳鼻咽喉病変のスクリーニング
d 可溶性IL-2レセプターの測定
e 骨髄生検
2)精査の結果、臨床病期IEと診断された。治療方針として適当なものはどれか。
a 胃全摘出術
b CHOP療法単独または放射線治療との併用
c ヘリコバクターの除菌
d リツキシマブ単独療法
e 放射線療法
【作問のねらい】
節外性非ホジキンリンパ種の中で、日本人にもっとも多い胃リンパ腫の診断・治療方法を問う問題である。
予後を推測するためにはLDH値、臨床病期、節外性病変の数などを決定する必要がある。
設問1の選択肢はいずれも重要であるが、dの可溶性IL-2レセプター値は予後指数の算定には不必要である。したがって正解はdとなる。
限局性中・高悪性度胃リンパ腫の治療は従来外科治療が中心であったが、最近では機能温存のため化学療法と放射線治療の併用が標準的とされている。
ヘリコバクターの除菌はMALTリンパ種に対する治療である。リツキシマブ単独療法は中・高悪性度胃リンパ腫に対する標準的な治療ではない。放射線療法も単独では不十分である。したがって正解はbとなる。
【正答】
1)d
2)b
【シリーズ記事】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:10| 医師国家試験・専門医試験対策