医師国家試験対策:統合試験過去問より(白血病、フェリチン)
金沢大学統合試験過去問の紹介と解説の記事(医師国家試験対策を兼ねる)を続けます。
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臨床問題
疾患と治療の結びつきの中で誤っているのはどれか。
a 急性前骨髄球性白血病 ー 亜ヒ酸
b 慢性骨髄性白血病 ー メシル酸イマチニブ
c 再生不良性貧血 ー インターフェロンα
d 濾胞性リンパ腫 ー リツキシマブ
e 多発性骨髄腫 ー サリドマイド
【作問のねらい】
話題の新薬と、それが適応となる疾患を問う問題である。
亜ヒ酸は、全トランスレチノイン酸抵抗性の急性前骨髄球性白血病に有効である(参考:急性骨髄性白血病)。
メシル酸イマチニ ブは現在では慢性骨髄性白血病に対する第一選択薬となっている。
インターフェロンαは骨髄毒性があるため、再生不良性貧血に対してはむしろ禁忌である。
リ ツキシマブ(キメラ型抗CD20抗体)は、濾胞性リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫に有効な薬剤である。
サリドマイドは多発性骨髄腫の3〜4割の患者に奏 効する。したがって正解はCである。
【正答】 c
必修問題
血清フェリチンに関する記載で誤っているのはどれか。
a ヘモクロマトーシスのマーカーとして有用である。
b 鉄欠乏状態では低下する。
c トランスフェリンと鉄との複合体である。
d 輸血によって一過性に上昇する。
e 血球貪食症候群で著増する。
【作問のねらい】
貯蔵鉄を反映するマーカーであるフェリチンの意義を問う問題である。
フェリチンは、鉄過剰状態では翻訳が亢進するため増加し、逆に鉄欠乏状態では低下する。
フェリチンはアポフェリチンと鉄との複合体である。
輸血により鉄負荷がかかると、肝細胞でのアポフェリチン産生が刺激されるため一過性にフェリチン値は上昇する(参考:輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法)。
フェリチンはマクロファージからも産生されるため、網内系が活性化される血球貪食症候群では著増する。したがって正解はCである。
【正答】 c
【シリーズ記事】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:14| 医師国家試験・専門医試験対策