金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2009年12月22日

播種性血管内凝固症候群(DIC):血液内科試験問題

問題解説(金沢大学 血液内科系統講義試験)を続けたいと思います。

参考:DIC(図解シリーズ)


【設問】

播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。一つ選べ。

a.    PT、APTT、フィブリノゲンともに正常であれば、DICを否定できる。
b.    線溶亢進型DICでは、血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)が正常である。
c.    固形癌に合併したDICでは、血中Dダイマーが正常である。
d.    急性前骨髄球性白血病に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。
e.    敗血症に合併したDICでは、血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。


【解説】

a. PT、APTT、フィブリノゲンともに正常であっても、FDP&ダイマーが上昇していれば、播種性血管内凝固症候群(DIC)である場合があります。

b. 線溶亢進型DIC、線溶亢進型DICであっても、DICの本態である著しい凝固活性化は必ずみられます。つまり、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)などの凝固活性化マーカーは必ず上昇します。

c. DICにおける最も重要な所見の一つは、血中Dダイマーの上昇です(基礎疾患の如何にかかわらずです)。

d. 急性前骨髄球性白血病(APL)では、典型的な線溶亢進型DICを合併します。著しい線溶活性化のために、フィブリンのみならずフィブリノゲンの分解も進行するためにフィブリノゲンは著減します。

e. 敗血症では線溶阻止因子PAIが著増するために、線溶に強い抑制がかかります。線溶活性化マーカーである血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は、軽度上昇にとどまります。

 

【正答】 d

 


【シリーズ記事】

血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

金沢大学第三内科HPへ 

金沢大学第三内科ブログへ 

研修医・入局者募集

研修医の広場金沢大学第三内科 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:54| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

◆この記事へのコメント:

※必須