慢性ITP症例に対するromiplostimの有用性(日本人での臨床試験報告)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療に関しましては、ピロリ菌の除菌療法はすっかり定着した感がありますが、その他の新たな展開が期待されています。
その一つが、トロンボポエチン受容体刺激薬であるromiplostimです。
今回は、最近Int J Hematolに報告された論文を紹介させていただきたいと思います。
「日本人慢性ITP症例に対するromiplostimの有用性(第II相 臨床試験)」
著者名:Shirasugi Y, et al.
雑誌名:Int J Hematol 90: 157-165, 2009.
<論文の要旨>
トロンボポエチン受容体刺激薬であるromiplostimの日本人における慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する効果を検討した第II相臨床試験の結果についての報告です。
ITP症例に対して、romiplostim:1、3、6μg/kg(各用量4症例)の皮下注が行われました(day 1&8)。血小板数の反応が見られた(血小板数の前値が倍増または5万/μl以上への上昇)場合にはその用量において、romiplostimを毎週継続されました。
その結果、本薬は用量依存性に血小板数の平均値およびピーク値を上昇させました。5症例においては、毎週の血小板数評価ポイントの半分以上のポイントで血小板数5万/μl以上を持続していました。
全症例において重大な副作用は見られず、romiplostimやトロンボポエチンに対する抗体も検出されませんでした。
以上、海外での成績と同様に、romiplostimは日本人の慢性ITPに対して有用と考えられました。
第III相臨床試験では、初期用量を3μg/kgとした検討を行う予定です。
ITPの治療方法は、複数の選択肢がありますが、それにもかかわらず難治の場合が少なくありません。このような新たな治療方法が選択肢として加わることは、朗報ではないかと思います。
今後の速やかな進展を期待したいと思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:20| 出血性疾患