遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)(ノボセブン)の報告
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)<商品名:ノボセブン>は、以下の疾患に対して保険適応を有しています。
1)先天性血友病にインヒビター(同種抗体)が出現した場合。
2)後天性血友病(自己抗体)
しかし、この製剤は人間が遭遇するいろんなタイプの出血に対して有効ではないかということで、全世界的に適応外使用が行われているのが現状だと思います。実際、種々の出血に対して有効であったという報告が多数みられています。
そういう意味では、究極の止血剤と言えるかも知れません。
出産後出血の原因としては、常位胎盤早期剥離や羊水塞栓に伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)、前置胎盤などが知られています。また、まれではありますが、出産に伴う後天性血友病も知られています。
最近の論文で、出産後の大出血に対するrFVIIaの有用性についてに関して論じた報告がありますので、紹介させていただきます。
「出産後の大出血に対するrFVIIaの有用性について」
著者名:Barillari G, et al.
雑誌名:Thromb Res 124: e41-e47, 2009.
<論文の要旨>
出産後出血(PPH)に対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の治療効果について検討した報告です。
イタリアにおいてrFVIIaによるPPH治療の行われた症例について解析された後方視的検討です。
2005〜2007年までのPPH35症例の収集が行われています。rFVIIaの投与前後における凝血学的パラメーターと輸血量の変化が検討されました。
その結果、rFVIIaの使用によりINRは有意に低下し、フィブリノゲン濃度は有意に上昇しました。
rFVIIa前後の、赤血球輸血、血小板輸血、新鮮凍結血漿、crystalloid&colloidの使用量はそれぞれ、6→2単位、1.5→0単位、1250→0mL、3000→1250mLと減少しました。
rFVIIaの投与前においては29/35症例において観血的処置が必要でしたが、rFVIIa投与後においては9/35症例のみでした。母体死亡例はなく、血栓性の副作用も全く見られませんでした。
以上、rFVIIaはPPHにおける止血治療として有効かつ安全ではないかと考えられました。
早く、この薬剤が第VIII因子インヒビターなどの特殊疾患のみでなく、多くの出血に対して保険診療内で使用できるようになって欲しいと、切に願っているところです。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:30| 出血性疾患 | コメント(0)