金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年02月12日

ノボセブン(活性型第VII因子製剤)とガイドライン

 ノボセブン(遺伝子組換え活性型第VII因子製剤:recombinant Factor VIIa、rFVIIa)は、先天性血友病Aの合併症である第VIII因子インヒビターや後天性血友病に対する適応を有した治療薬です。

しかし、止血剤としての効果が抜群であるために、世界的に適応外使用がなされています。

適応外使用に対してガイドラインを作成するというのも変な話ですが、そのような論文が最近報告されました。より良い、ガイドラインが必要と論じています。

 

「遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の適応外使用に関するガイドラインについて」

著者名:Willis CD, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 7: 2016-2022, 2009.


<論文の要旨>

遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は、致命的出血に対して適応外使用される機会が増加しているため、ガイドラインの存在が必要と思われます。適応外使用の結果としてどのような転帰となるかは、あまり知られていません。

著者らは、Haemostasis Registry(オーストラリアとニュージランドにおける参加医療機関より、rFVIIaが適応外使用されると全て登録されます)よりデータを抽出しました。

参加医療機関は、rFVIIaの適応外使用に関する院内ガイドラインの提出を求められました。院内ガイドラインに完全に準拠した症例と、1つ以上の項目で準拠違反のある症例が比較されました。


75施設2,551症例の解析が可能でした。これらの施設のうち58施設ではガイドラインが提出されました。

ガイドライン準拠症例(n=530)と、非準拠症例(n=1,035)との間で、年齢、投与量、性別に差はみられませんでした。

 

ガイドライン準拠の有無と、28日後の予後との間には相関はみらませんでした。


以上、rFVIIaは、ガイドラインに準拠せずに使用されることが少なくないことが明らかになりました。

また、ガイドライン準拠の有無と予後との間に関連がなかったことより、より精錬されたガイドラインが求められているものと考えられました。


【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46| 出血性疾患