微少PNH型血球:金沢大学血液内科 中尾教授より-5
再生不良性貧血 1999〜:金沢大学血液内科 中尾教授より-4 より続く
【微少PNH型血球との出会い】
そこで、私たちが外来で診ている自己免疫性再生不良性貧血症例の末梢血についてPNH型血球の有無を早速調べてみることにしました。
同じ調べるのであれば感度の高い方法を用いた方が良いと考え、1999年にニューヨークのグループが健常者の末梢血中にごく少数のPNH型血球が存在することを証明するのに用いた高感度のフローサイトメトリーを使って、留学生の王さんに血算血の残りを調べるように指示しました。
彼女が持ってきたフローサイトメトリーの生データを医局長室でみたところ、0.1%以下のわずかなPNH型血球が、検索した血液のすべてに認められました。
当時は王さんの実験手技が未熟であったため、何かのコンタミネーションかアーチファクトをみているのだろうと思ったのですが、何度調べても自己免疫性再生不良性貧血例では陽性になり、健常者ではそのようなPNH型血球の明らかな集団は全く認められません。
フローサイトメトリーという精度のそれほど高くない検査で0.1%未満の細胞集団があると言っても普通は信用されないのですが、多くの症例と健常者を比較することによって、PNH型血球陽性の骨髄不全患者と健常者の間には明らかな差があることが分かるようになりました。
これがその後10年の研究の方向性を決めることになりました。
(続く)
MDSとPNH型血球:金沢大学血液内科 中尾教授より-6 へ
【関連記事】NETセミナー
ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−
貧血患者へのアプローチ
血液内科に関する研修医からのQ&A
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:37| 血液内科