金沢大学血液・移植研究室(同種造血幹細胞移植):研究室紹介(4)
金沢大学血液・移植研究室(骨髄不全):研究室紹介(3)から続く
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【血液・移植グループ(4)】
<同種造血幹細胞移植>
同種造血幹細胞移植におけるSNP解析を行っています(厚労省班研究・日本骨髄バンクとの共同研究)。
複数のSNPsが移植転帰に影響することがわかり、さらに機能解析を進めています。HLA検査とSNP解析を組み合わせることにより、移植成績が最も良くなる「理想のドナー選び」が近い将来可能になると考えています。
同種造血幹細胞移植後早期に回復するドナー由来のNK細胞は強力なGVL効果を担っているため、この時期にはNK細胞の働きを抑えないGVHD予防薬を使用することが望ましいと考えられます。
健常者末梢血単核球からNK(CD3-CD56+)細胞を単離し、IL-2、IL-15の存在下培養した後、免疫抑制剤を添加しないコントロールと各種の免疫抑制剤を添加した群についてNK細胞の増殖活性、白血病細胞株(K562、Daudi)に対する細胞傷害活性、細胞表面のCD16やCD56の発現を比較しました。
NK細胞の増殖はシクロスポリン(CsA)、タクロリムス(TAC)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の添加によって抑制されましたが、メトトレキサート(MTX)添加では抑制されませんでした。
細胞傷害活性はコントロール群に比べMMF群で有意に低下したものの、CsA群、TAC群、MTX群では有意な変化は認めず、カルシニューリンインヒビターやMTXに比べてMMFはNK細胞による抗白血病効果を減弱させる可能性が示唆されました。
NK細胞による移植片対白血病効果を誘導上ではMMFの使用は否定的であることが考えられました。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:42| 血液内科