金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年06月03日

医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)3

医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)1 


医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)2 より続く。


4連問ですので、1問目からご覧いただきますと、ストーリーが続きます。


今回は、連問の第3問目です。第3問目では、検査と関連した問題が出される(検査と関連した問題を作成する)ことになっています。

 

68歳の女性。3日前から頻尿、排尿時痛の症状がみられたが放置していた。本日になり39.3℃の高熱がみられ、腰痛もみられるようになったため来院。血尿および紫斑がみられる。身体所見では、肋骨脊椎角部叩打痛が見られた。血液検査では、血小板数が著明に低下し、血液培養および尿培養で大腸菌が検出された。

血液検査でみられる所見はどれか。

 

A.  抗血小板抗体陽性

B.  プロトロンビン時間(PT)短縮

C.  フィブリン分解産物(FDP)上昇

D.  アンチトロンビン(AT)活性上昇

E.  活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)短縮

 

リンク:回答はこのリンク集の下にあります。

医学部CBT試験対策:血液内科(コアカリ)、凝固検査、DIC

医学部コア・カリキュラム(出血傾向):CBT対策

医師国家試験 問題対策:血液内科(血栓止血領域)

CBT、医師国家試験、専門医試験問題対策

 

 

 

 

回答

C

 

解説

急性腎盂腎炎から敗血症となり、播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併したものと考えられます。


 正答・誤答の理由:

   A  × :抗血小板抗体は播種性血管内凝固症候群(DIC)と無関係です。

   B  × :プロトロンビン時間(PT)は延長することがあります。ただし、CBTレベルではないですが、PTは、肝不全やビタミンK欠乏症などの多くの他の要素で延長するため、DIC診断における重要性はかなり低いと、管理人らは考えています。

   C  ○ :フィブリン分解産物(FDP)やDダイマーの上昇は特徴的です。

   D  × :アンチトロンビン(AT)活性はしばしば低下します。ただし、CBTレベルではないですが、急性前骨髄球性白血病(APL)などDICを合併していても、AT活性が低下しないことも多く、DIC診断における重要性はかなり低いと、管理人らは考えています。

   E  × :活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は延長することがあります。ただし、CBTレベルではないですが、DIC初期にはかえって短縮することもあります(活性型凝固因子の存在のためか)。

 

医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)4
 

 【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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