金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年06月05日

DIC病型分類の利点


DIC病型分類の考え方は、DICの診断を行う上でも、治療を行う上でもメリットがあります。

DIC病型分類に関する欧文論文:Classifying types of disseminated intravascular coagulation: clinical and animal models.  Journal of Intensive Care 2014, 2: 20.

 
診断に際しての利点

FDP 、DダイマーはDIC診断の最も重要なマーカーと信じられていますが、敗血症などに合併する線溶抑制型DICでは、その上昇は軽度にとどまることが少なくありません。

したがって、これらのマーカーを過度に重用視しますと、DICの診断が遅れる懸念があります。

このようなタイプのDICでは、血中TATSFの上昇、血小板数の経時的低下に着目することにより、早期診断が可能となります。

 

治療に際しての利点

線溶亢進型DICに対してヘパリン類単独治療を行いますと、かえって出血を助長することも少なくありません。

このようなタイプのDICには、凝固活性化のみならず線溶活性化も同時に十分阻止するような治療を行いますと、出血症状に対して著効します。

具体的には、メシル酸ナファモスタット(抗トロンビン作用のみならず抗プラスミン作用も強力な合成プロテアーゼインヒビター:フサンなど)、あるいはヘパリン類とトラネキサム酸の併用が有効です。

ただし、DICに対するトラネキサム酸などの抗線溶療法は、血栓症や臓器障害の合併の報告があり、適応や使用方法を誤ると重大な合併症をきたすことになります。したがって適応を誤らないためにも、病型の明確な定義が必要と考えられます(線溶亢進型DIC)。

(続く)DIC病型分類の問題点

 

 【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53| DIC | コメント(0)

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