金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年06月23日

予防的血小板輸血の用量について

血小板輸血は、造血期悪性腫瘍の化学療法時など、必要不可欠な医療行為です。
しかし、どの程度の血小板輸血を行えば良いのかにつきましては、意外とエビデンスがありません。

今回紹介させていただく論文(N Eng J Medより)は、この素朴な疑問に答えてくれる貴重な報告ではないかと思います。



「予防的血小板輸血の用量について


著者名:Slichter SJ, et al.
雑誌名:N Eng J Med 362: 600-613, 2010.


<論文の要旨>

著者らは、骨髄抑制を伴う血小板数減少症に対して予防的に血小板輸血を行う場合の用量に関する検討を行っています。


造血器悪性腫瘍または固形癌に対して、造血幹細胞移植または化学療法を行い血小板輸血を行う群を、低用量群、中等用量群、高用量群(それぞれ、1.1×1011、2.2×1011、4.4×1011platelets/体表面積m2)に分類しました。

血小板輸血のタイミングは、朝の採血で血小板数1万/μl以下としました。一次エンドポインは、grade 2以上(WHOクライテリアによる)の出血としました。


その結果、1回以上の血小板輸血を受けた1,272症例において、各群のエンドポイントは、上記の順に71%、69%、70%で観察されました(有意差なし)。より高gradeの出血、他の有害事象も、群間差は見られませんでした。輸血血小板数は、低用量群において有意に少なかったですが、輸血回数は低用量群において有意に高頻度でした。

朝の血小板数が0.5万/μl以下であった場合には、25%の症例でその日に出血がみられたのに対し、血小板数0.6〜8万/μlの場合は17%でした。


以上、低用量の予防的血小板輸血は、血小板輸血量を減らすことができますが、輸血回数は増やすものと考えられました。

また、1.1〜4.4×1011/ m2の範囲での血小板輸血は、出血頻度に影響を与えないものと考えられました。



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:14| 出血性疾患