APTTで血友病をスクリーニングできない?
血友病では、APTTが延長するというのは、医師国家試験でも頻出の重要事項です。
しかし、実際の臨床では、なかなか教科書通りにはいきません。
教科書通りにいかないのは、血友病だけではありませんが、今回紹介させていただく論文は、改めてAPTTには限界があると注意を喚起しています。
「APTTが正常の血友病Bもあるため要注意!」
著者名:Park CH, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 21: 368-371, 2010.
<論文の要旨>
血友病Bは、第IX因子活性が低下する伴性劣性遺伝の先天性出血性素因です。
血友病Bのスクリーニングは、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長が一般的ですが、軽症の血友病BではAPTTが正常ないし軽度延長に留まることがあります。
著者らは、軽度の出血既往を有する軽症血友病B(26才、男性)の診療にあたりました。
この発端者には、同様の出血症状のみられる弟および母方の男性いとこがいました。
血液凝固スクリーニング検査では明らかな異常はなく、APTT40.0sec(正常値29.1〜41.9秒)でした。しかし、第IX因子活性は27%と低下していました。
弟のAPTTも45.1秒と軽度延長にとどまっており(混合試験では凝固時間の延長は是正された)、FIX活性は34%でした。
遺伝子解析では、兄弟ともに同じ変異(軽症血友病Bに特徴的とされる変異)が確認されました。
以上、APTTが正常の血友病Bもあるため、本疾患を疑った場合には、APTTが正常であっても凝固因子活性の測定や遺伝子解析が必要と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:58| 出血性疾患 | コメント(0)