金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年07月03日

bivalirudin (Hirulog、ヒルログ):抗トロンビン薬(3)

ヒルジン:抗トロンビン薬(2)より続く

ヒルジン図
 



【bivalirudin
】 (Hirulog ;ヒルログとも言う)

bivalirudin (Hirulog ;ヒルログとも言う)は、20個のアミノ酸からなるヒルジン誘導体です。

ヒルログはヒルジン同様に血栓(フィブリン)に結合したトロンビンに対しても抗トロンビン作用を有しています。

しかも、分子量がより小さいことのメリットとして血栓に結合したトロンビンに対してはヒルジンよりも有効かもしれない点と、抗原性がより低いと思われる点があげられます。

血中半減期は、約30分でありヒルジンと比較して短いです。


ヒルジンとの相違点は、トロンビンと結合するとアミノ酸残基のArg-Pro結合が分解されてトロンビンとの親和性が低下することです。そのため、トロンビンに対する阻止効果が一過性であり、血中半減期はより短く、安全性がより高いものと期待されています。

ヒルログについても、不安定狭心症に対して出血の副作用なくコントロールしえたという報告、急性心筋梗塞に対して線溶療法を行った場合にヘパリンを併用した場合よりもヒルログを併用した場合の方が再灌流率が良好であるという報告、冠動脈形成術に際してアスピリンにヒルログを併用し出血の副作用なく良好な成績がえられたとする報告などがみられます。

ヒルジンおよびその誘導体は日本ではまだ臨床応用されていませんが、米国においては、ヒルジンはHIT、虚血性心疾患、DVT予防などに対して、bivalirudinは虚血性心疾患に対するPTCA、線溶療法時などに使用され、好成績が報告されています1)2)3)4)。


1.    Kastrati A, Neumann FJ, Mehilli J, et al: Bivalirudin versus unfractionated heparin during percutaneous coronary intervention. N Engl J Med 359 :688-696, 2008.

2.    Stone GW, Witzenbichler B, Guagliumi G, et al: Bivalirudin during primary PCI in acute myocardial infarction. N Engl J Med 358: 2218-2230, 2008.

3.    Mehran R, Lansky AJ, Witzenbichler B, et al: Bivalirudin in patients undergoing primary angioplasty for acute myocardial infarction (HORIZONS-AMI): 1-year results of a randomised controlled trial. Lancet 374(9696): 1149-1159, 2009.

4.    Stone GW, White HD, Ohman EM, et al: Bivalirudin in patients with acute coronary syndromes undergoing percutaneous coronary intervention: a subgroup analysis from the Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage strategy (ACUITY) trial. Lancet 369(9565): 907-919, 2007.

 

(続く)スロンノン、ノバスタンなど:抗トロンビン薬(4)

 


【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11| 抗凝固療法