2010年07月04日
スロンノン、ノバスタンなど:抗トロンビン薬(4)
bivalirudin (Hirulog、ヒルログ):抗トロンビン薬(3)より続く
アルガトロバンは、アルギニン骨格を有する分子量約530の化合物であり、アンチトロンビン(AT)非依存性に抗トロンビン活性を発揮します。半減期は、30分程度です。
本薬は日本においても使用可能な合成抗トロンビン薬(AT非依存性)であり、保険適応上、脳血栓症急性期(ラクナ梗塞&心原性脳塞栓を除く)、慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症、バージャー病)、血液体外循環時(先天性AT欠損症や、AT活性が低下した患者において)、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)2型における使用が認可されています 5)6)。
5. Kawano H, Toyoda K, Miyata S, et al: Heparin-induced thrombocytopenia: a serious complication of heparin therapy for acute stroke. Cerebrovasc Dis 26: 641-649, 2008.
6. Chong BH, Isaacs A: Heparin-induced thrombocytopenia: what clinicians need to know. Thromb Haemost 101: 279-83, 2009.
本薬は肝代謝の薬剤であり、肝不全症例に対して投与する場合には血中濃度が著しく上昇(PT&APTTが著しく延長)することが知られており注意が必要です。
添付文書によりますと、HITに対して用いる場合には、
「0.7μg/kg/分より点滴静注を開始し,持続投与する。なお,肝機能障害のある患者や出血のリスクのある患者に対しては,低用量から投与を開始すること。活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を指標に投与量を増減し,患者毎の投与量を決定する」
と書かれています。
この投与方法では、標準的体重の患者であれば、アルガトロバン60mg/24時間程度の投与量となります。
本薬は、HITと同じく血小板数が低下する血栓性病態である播種性血管内凝固症候群(DIC)に対する臨床試験が行われた過去があります。
DICの臨床試験では、アルガトロバン30mg/24時間の用量であったと記憶していますが、この用量でも致命的な出血の有害事象が高頻度にみられた事にも言及しておきたいと思います。
(続く)
Ximelagatran(キシメラガトラン):抗トロンビン薬(5) へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:27| 抗凝固療法