金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年09月26日

CBT試験(こあかり):血液内科(血栓止血領域)

CBT試験(こあかり)の問題紹介と、解説&正答の記事を今回からシリーズでお届けしたいと思います。

CBTは、医学部4年生が受験すると思いますが、やや難かしすぎる(あるいは正答を一つにしぼり込めない)のではないかと思われる問題も、今後お届けするシリーズの中に含まれていました。

もっと素直な問題にしてはどうかと思っているのは、管理人だけでしょうか。

ただし、問題紹介は受験生の記憶に基づく再現問題ですので、実際の問題とは異なっている可能性がありますことをご了解お願いいたします。

 

 

血管内皮下組織のコラーゲンに結合し、血小板の細胞表面上にあるGPIb/IX複合体と結合して血小板の粘着に関与する物質はどれか。

A.    von Willebrand因子

B.    アンチトロンビン

C.    ビタミンK

D.    フィブリノーゲン

E.    第VIII因子

F.    第IX因子

G.    プロトロンビン

H.    組織トロンボプラスチン 

止血の図

 

(解説)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)の、No.3より引用(原典はカラー図)

血管が破綻しますと、まず血小板粘着を生じます。次に、血小板凝集が進行します。

血小板粘着の際に、血管内皮下組織と血小板の間隙を埋めてくれる接着因子が、 von Willebrand因子(VWF)です。VWFと結合する血小板側の結合部位がGPIb/IX(図ではGPIb)です。

また、血小板凝集の際には フィブリノゲン(図ではFbg)が必要となります。フィブリノゲンと結合する血小板側の結合部位がGPIIb/IIIaです。

血小板膜リン脂質を反応の場として、多くの凝固因子が集まり、最終的には、トロンビンが産生され、トロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに転換して凝固が完結します。

<参考>

・ 先天性のVWF欠損症 → von Willebrand病

ビタミンK依存性凝固因子:半減期の短い順に、VII、IX、X、II(プロトロンビン)

・ 先天性のVIII因子欠損症 → 血友病A

・ 先天性のIX因子欠損症 → 血友病B

・ 組織トロンボプラスチン:現在は、組織因子ということが多い。

・ GPIb/IXの先天性欠損症 → Bernard-Soulier症候群

・ GPIIb/IIIaの先天性欠損症 → 血小板無力症

 

(正答)A

 

(感想)

医学部4年生に、GPIb/IX複合体の知識を求めるのは、ちょっと可哀想ではないかとも感じた1問です。



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 医師国家試験・専門医試験対策