金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2010年09月27日

CBT試験問題(こあかり):ヘパリン

CBT試験(こあかり)の問題紹介と、解説&正答の記事を続けたいと思います。

前回の記事(CBT試験(こあかり):血液内科(血栓止血領域))と選択肢は同じですが、問題内容が変わっています。

 


ヘパリンやヘパリン様物質と結合し、トロンビンの凝固活性を中和させる働きを持つ物質はどれか。


A.    von Willebrand因子

B.    アンチトロンビン

C.    ビタミンK

D.    フィブリノーゲン

E.    第VIII因子

F.    第IX因子

G.    プロトロンビン

H.    組織トロンボプラスチン






(解説)

前問の図(CBT試験(こあかり):血液内科(血栓止血領域))において「x」つきの矢印で書かれているのが、凝固阻止因子です。

アンチトロンビン(AT)は、トロンビンや活性型第X因子(Xa)などの活性型凝固因子と一対一結合することで凝固を阻止します。

活性型プロテインC(APC) は、Va、VIIIaを阻止することで凝固活性化を抑制します(APCが作用する際のコファクターがプロテインSです)。

上記のアンチトロンビンの抗凝固活性は、ヘパリンおよびヘパリン様物質によって飛躍的に増強することが知られています。

現在、ヘパリンおよびヘパリン様物質は、各種血栓症や播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬として用いられていますが、アンチトロンビンの作用を増強することを目的としています。

DIC症例のなかで、AT活性の低下した場合にはヘパリンの効果が十分発揮されないために、AT濃縮製剤が投与されます。


(正答)B

(感想)

この問題も前回の問題同様に、医学部4年生には、ちょっと可哀想ではないかとも感じた1問です。



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| 医師国家試験・専門医試験対策