CBT試験問題(こあかり):プロトロンビン時間(PT)延長
CBT試験(こあかり)の問題紹介と、解説&正答の記事を続けたいと思います。
前回記事(CBT試験問題(こあかり):点状出血)の問題と関連しています。
72歳の男性。
2週前、肺炎のため抗菌薬を投与した。肺炎は治ったが、注射の際、出血が止まらなくなった。
血液学所見:プロトロンビン時間(PT)18.6秒(基準対照11.3)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)32.0秒(基準対照32.2)、FDP 8μg/mL(基準10以下)。
考えられるのはどれか。
A. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
B. 血友病
C. アレルギー性紫斑病
D. 溶血性貧血
E. 肝硬変
F. 急性白血病
G. 播種性血管内凝固症候群(DIC)
H. ビタミンK欠乏症
(解説)
・ 特発性血小板減少性紫斑病(ITP):血小板数が書かれていませんが、正常のためと判断したいと思います。ITPは否定します。
・ 血友病:APTTが延長しますが、PTは正常です(前問の解説 点状出血 も参照)。
・ アレルギー性紫斑病:臨床症状が合いません。PT延長も説明できません。
・ 溶血性貧血:出血はありません。
・ 肝硬変:元々、肝硬変を有した症例でもPTの延長は説明可能ですが、抗菌薬投与後の出血という作題の意図より正解ではないと判断したいと思います。
・ 急性白血病:一般的にはPTの延長を説明できません。
・ 播種性血管内凝固症候群(DIC):FDPが正常なので否定できます。
・ ビタミンK欠乏症;最も疑われます。重症例では、PT、APTTともに延長しますが、軽症例ではPTのみが延長します。ただし、この程度のビタミンK欠乏症(軽症)で出血傾向をきたすとは考えにくく、悪問と言わざるをえないです(ただし、この紹介問題は受験者の記憶による再現問題ですので、実際の問題ではない可能性もあることをお許しいただきたいと思います)。
PT30秒、APTT40秒くらいの設定であって欲しかったような気が致します(前問の解説<CBT試験問題(こあかり):点状出血>も参照くださいませ)。
<ビタミンK欠乏症の代表的誘因>
1) 食事摂取量の低下:ビタミンKの摂取も低下します。
2) 抗菌薬の投与:ビタミンKは腸内細菌が産生しています。抗菌薬の投与によって腸内細菌が死滅します。
3) 閉塞性黄疸;ビタミンKは脂溶性ビタミンであり、その吸収に胆汁を必要とします。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)