金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年10月05日

CBT試験問題(こあかり):APTT延長

CBT試験(こあかり)の問題紹介と、解説&正答の記事を続けたいと思います。

 

前回の記事(CBT試験問題(こあかり):血小板数低下)と関連しています。

 

10歳の男児。
自転車で転倒して右肘を打ち、来院した。
右肘は内出血して肘関節が腫脹している。内出血が止まらないことがよくある。
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)54秒(基準対照32.2)、他は正常。
母方の従兄弟にも同様の症状がある。

考えられるのはどれか。




A. Schönlein-Henoch紫斑病 (シェーンライン・ヘノッホ紫斑病)

B. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

C. 血友病

D. 再生不良性貧血

E. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

F. 播種性血管内凝固症候群(DIC)

G. 慢性骨髄性白血病

H. von Willebrand(フォン ・ヴィレブランド)病




(解説)

関節内出血、APTTの延長、母方の男性にも同じ疾患(伴性劣性遺伝)とくれば、答えにはすぐ到達します。


Schönlein-Henoch紫斑病では、APTTの延長はありません。出血の出方も異なります。

TTPでは、APTTの延長はありません(前問の解説も参照:
CBT試験問題(こあかり):血小板数低下)。

血友病は先天性出血性素因です。関節内出血、筋肉内出血がみられます。
APTTが延長します。

再生不良性貧血では、APTTの延長はありません。

ITPでは、血小板数が低下します。APTTの延長はありません。

播種性血管内凝固症候群(DIC)では、FDPやDダイマーの上昇がみられます。APTTの延長がある場合もありますが特徴的ではないです。

・ CMLでは、白血球の増加がみられます。通常、APTTの延長はありません。

VWDは、粘膜出血(鼻血など)が特徴的です
(前問の解説も参照:CBT試験問題(こあかり):血小板数低下)。



(正答) C



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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