金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年10月13日

新生児ビタミンK欠乏症

新生児におけるビタミンK欠乏症は、ビタミンKの予防投与が行われるようになって、ほとんど無くなった疾患かと思っていましたが、どうもそうではないようです。

今回の論文は、警鐘を鳴らすような論文になっています。

 


「出血の原因としての遅発性ビタミンK欠乏症(21世紀においても注意すべき疾患である!)」

著者名:kasatkar P, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 21: 608-610, 2010.


<論文の要旨>

新生児におけるビタミンK欠乏症による遅発性出血は、後天性出血性素因として、現在はまれなものであると考えられています。

著者らは、出生後に適切なビタミンKの予防投与が行われていたにもかかわらず、ビタミンK欠乏症による出血(vitamin k deficiency bleeding : VKDB)をきたした11症例を報告しています。


出血症状は、切創部からの大量出血から頭蓋内出血に至るまで種々でした。

結核合併例、下痢症状を有した症例、間欠的な抗生剤投与がなされていた症例が含まれていました。いずれの症例ともに、凝血学的検査によりビタミンK欠乏症による出血性素因であると確診されたましが、ビタミンKの補充療法を行うことによって是正されました。


以上、小児VKDBは現代においても決してまれな病態ではなく、小児の出血症状を診たら鑑別疾患にあげるべき病態と考えられました。

 

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09| 出血性疾患