敗血症と凝固・DIC(2)凝固活性化
敗血症と凝固・DIC(1)活性化プロテインCの意義 より続く
敗血症と凝固・DIC(2)敗血症における凝固活性化
敗血症などの重症感染症における凝固活性化や播種性血管内凝固症候群(DIC)の発症にはサイトカインの関与が大きいと考えられています。
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敗血症においては、lipopolysaccharide(LPS)やTNF、IL-1などの炎症性サイトカインの作用により、単球/マクロファージや血管内皮から大量の組織因子(tissue factor:TF)が産生され、著しい凝固活性化を生じます。
さらに、LPSやサイトカインは血管内皮上の抗凝固性蛋白であるトロンボモジュリン(thrombomodulin:TM)の発現を抑制しますので、凝固活性化に拍車がかかることになります。
凝固活性化の結果として生じた多発性微小血栓は、線溶活性化により溶解されようとしますが、LPSやサイトカインの作用によって血管内皮で線溶阻止因子プラスミノゲンアクチベータインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)が過剰発現し線溶が抑制されるために、多発性微小血栓が残存し、微小循環障害による多臓器不全が進行します。
Levi M, Ten Cate H: Disseminated intravascular coagulation. N Engl J Med. 1999; 341: 586-592.
なお、急性白血病や固形癌などの悪性腫瘍においては、腫瘍細胞中の組織因子により外因系凝固が活性化されることが、凝固活性化やDIC発症の原因と考えられています。
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血管内皮や炎症の関与がほとんどない点において、より直接的な凝固活性化の病態となっています。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41| DIC