金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年12月20日

血液内科問題(抗リン脂質抗体症候群):(兼)医師国家&専門医 試験対策

金沢大学 血液学系統講義試験の問題紹介を続けたいと思います。

今回は、抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する臨床問題です。

 

典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、正しいものはどれか。1つ選べ。

a)    抗カルジオリピン抗体が陰性であれば、APSを否定できる。

b)    APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正される。

c)    動脈血栓症では心筋梗塞が最も多い。

d)    習慣性流産の若年女性に対しては、妊娠判明後ワルファリンとヘパリンによる抗血栓療法を行う。

e)    リン脂質依存性凝固時間が延長する。





(解説)

a)抗カルジオリピン抗体が陰性であっても、ループスアンチコアグラント(LA)が陽性であれば、APSの可能性がある。

b) APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長は是正されない。なお、凝固因子欠乏の場合には、是正される(参考:クロスミキシングテスト(混合試験))。

c)動脈血栓症では脳梗塞が最も多い(参考:抗血栓療法)。心筋梗塞は少ない。

d)ワルファリンは催奇形性の副作用があるため、挙児希望の女性には使用できない。

e)典型的なAPSでは、APTTなどのリン脂質依存性凝固時間が延長する。


(正答) e)

(正答率)77.1%

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 医師国家試験・専門医試験対策