血液内科問題(DIC):(兼)医師国家&専門医 試験対策
金沢大学 血液学系統講義試験の問題紹介を続けたいと思います。
今回は、播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する臨床問題です。
管理人の予想に反して、この問題の正答率は若干低めでした。80%以上の正答率を予想していましたので、やや残念です。。。
播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。1つ選べ。
a) PT、フィブリノゲン、血小板数ともに正常であれば、DICを否定できる。
b) 線溶抑制型DICでは、血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)が正常である。
c) 固形癌に合併したDICでは、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が正常である。
d) 敗血症に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。
e) 急性前骨髄球性白血病に合併したDICでは、血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。
(解説)
a) PT、フィブリノゲン、血小板数ともに正常であっても、FDPが著増していればDICである場合がある(参考:Dダイマーとは)。
b) 線溶抑制型DICであっても、あるいは他の病型のDICであっても、DICであれば、凝固活性化マーカーである血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)は上昇する。
c) DICでは、どのような基礎疾患に合併したDICであっても、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は上昇する。
d) 敗血症では強い炎症反応のため、フィブリノゲンは上昇する(フィブリノゲンは炎症反応として上昇する)。DICを合併してもフィブリノゲンはあまり低下しない(参考:敗血症に合併したDICの発症機序)。
e) 急性前骨髄球性白血病(APL)は、著しい線溶活性化をきたす。線溶活性化マーカーである血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は著増する。
(正答) e)
(正答率)70.8%
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39| 医師国家試験・専門医試験対策