金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年01月24日

活性型プロトロンビン複合体製剤

今回紹介させていただくのは、このサイトでも何回か登場している、シリーズ:血栓止血の臨床〜研修医のために〜(日本血栓止血学会誌)からです。

血栓止血の臨床に関連した多数の記事を、無料、パスワードなしでダウンロードすることができます。

内容の改訂の上、現在単行本化の作業が行われています。乞う、ご期待です。

参考;ノボセブン

 

「活性型プロトロンビン複合体製剤

著者名:田中一郎
雑誌名:日本血栓止血学会誌 21: 506ー508,2010.


<論文の要旨>

活性型プロトロンビン複合体製剤(activated prothrombin complex concentrate:aPCC)は、インイビター保有先天性血友病患者もしくは後天性血友病患者のバイパス止血療法に用いられます。

通常、急性出血に対してはaPCC50〜100単位/kgを8〜12時間間隔で1〜3回静注しますが、1日最大投与量は200単位/kgを超えないようにします。

重症出血や手術時にaPCCを連用する場合は、止血効果のモニタリングとともに血栓症マーカーによるモニタリングが必要になります。

aPCCの有効率は64〜96%と報告されていますが、その有効性は個々の患者で差があり、同じ患者でも出血の部位や重症度、時間経過などにより異なることがあります。

播種性血管内凝固症候群(DIC)や心筋梗塞等の血栓症の発生はaPCC10万回の使用で4.05〜8.24件と報告されています。

このうち、多くはaPCCの加量投与や肥満、高脂血症などの危険因子を持つ患者です。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:13| 出血性疾患