金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年03月22日

第VIII因子インヒビターとトロンビン形成試験(TGT)

トロンビン形成試験(thrombin generation test : TGT) は、専門誌ではしばしば登場する検査です。

今回紹介させていただく論文は、Bloodに報告されました。

内容もさることながら、トロンビン形成試験の有用性がBloodに報告されたところに意義があるような気がしています。

 

 
「インヒビター保有血友病患者における待期的手術と用量モニタリングのためのトロンビン形成試験

著者名:Dargaud Y, et al.
雑誌名:Blood 116: 5734-5737, 2010.

<論文の要旨>

バイパス製剤(by passing agents : BPAs)に対する反応には個人差がみられます(参考:ノボセブン第VIII因子インヒビター血友病後天性血友病)。

手術に際しては、縫合不全を起こさせないためにも、術中および術後数日間は充分な止血が重要です。しかし、各腫手術毎のBPA至適用量は明らかになっていません。

著者らは、高力価インヒビターを保有する重症血友病6症例における10回の待期的手術に対して、BPAの投与行う際のモニタリングとして、トロンビン形成試験(thrombin generation test : TGT)の有用性を報告しています。


インヒビター含有血友病に対するBPAは、用量依存的にin vitroおよびex vivoのトロンビン形成能を向上させました。

また、BPAによる臨床効果とトロンビン形成能の間には関連性がみられました。

 

以上、インヒビター含有血友病における手術でバイパス療法を行う際に、TGTは有用なマーカーになるものと考えられました。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 出血性疾患