先天性第VII因子欠損症とノボセブン(rFVIIa)
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)(商品名:ノボセブン)は、インヒビター保有血友病や、後天性血友病に対する止血目的の治療薬として、認可されました(参考記事:止血剤の種類と疾患:ノボセブン、アドナ、トランサミンなど)。
現在は日本においても、先天性第VII因子欠損症に対する使用も可能になりました。
今回紹介させていただく論文は、第VII因子欠損症患者の手術における遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の有用性と注意点を論じています。
「第VII因子欠損症患者の手術における遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)」
著者名:Mariani G, et al.
雑誌名:Br J Haematol 152: 340-346, 2011.
<論文の要旨>
先天性出血性素因を有する症例においては、手術に伴う過度の出血は重大な合併症であり、そのコントロールは重要です。
先天性第VII因子欠損症においては、手術時の管理法に関するデータはほとんどありません。
著者らは、STER(Seven Treatment Evaluation Registry)に登録された症例の検討を行いました。
先天性第VII因子欠損症34症例における41回の手術(大手術24回、小手術17回)に対して、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa、ノボセブン)の投与が行われました。
3回の大手術(整形外科手術)において出血がみられましたが、それらの手術でのrFVIIaの使用はごく少量でした。
また、抜歯が多数回くり返された1症例において、FVIIに対する抗体が出現しました。
30日間の経過観察において、血栓症の合併は1例も見られませんでした。
先天性第VII因子欠損症に対するrFVIIaによる補充療法は、適切な量で使用されれば有効であり、その適正使用量は少なくとも13μg/kg/1回を3回以上と算出されました(ROC解析より)。
また、rFVIIaの適正使用は、とくに大手術の際に重要と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| 出血性疾患