金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年03月24日

先天性第VII因子欠損症とノボセブン(rFVIIa)


遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)(商品名:ノボセブン)は、インヒビター保有血友病や、後天性血友病に対する止血目的の治療薬として、認可されました(参考記事:止血剤の種類と疾患:ノボセブン、アドナ、トランサミンなど)。

現在は日本においても、先天性第VII因子欠損症に対する使用も可能になりました。

今回紹介させていただく論文は、第VII因子欠損症患者の手術における遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の有用性と注意点を論じています。

 

 
「第VII因子欠損症患者の手術における遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)

著者名:Mariani G, et al.
雑誌名:Br J Haematol 152: 340-346, 2011.

<論文の要旨>

先天性出血性素因を有する症例においては、手術に伴う過度の出血は重大な合併症であり、そのコントロールは重要です。

先天性第VII因子欠損症においては、手術時の管理法に関するデータはほとんどありません。

著者らは、STER(Seven Treatment Evaluation Registry)に登録された症例の検討を行いました。


先天性第VII因子欠損症34症例における41回の手術(大手術24回、小手術17回)に対して、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa、ノボセブン)の投与が行われました。


3回の大手術(整形外科手術)において出血がみられましたが、それらの手術でのrFVIIaの使用はごく少量でした。

また、抜歯が多数回くり返された1症例において、FVIIに対する抗体が出現しました。

30日間の経過観察において、血栓症の合併は1例も見られませんでした。


先天性第VII因子欠損症に対するrFVIIaによる補充療法は、適切な量で使用されれば有効であり、その適正使用量は少なくとも13μg/kg/1回を3回以上と算出されました(ROC解析より)。

また、rFVIIaの適正使用は、とくに大手術の際に重要と考えられました。

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| 出血性疾患