金沢大学第三内科「呼吸器研究グループ」紹介(3)
肺疾患グループ(チーフ:早稲田先生)
間質性肺炎の領域は、病型の多様性(IPF,NSIP, COP, EP, DIPなど)のため、それぞれの病態毎の機序や原因の解明がなかなか進まないのが現状です。
抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体に注目し、間質性肺炎の病型との関連を検討した結果、非特異的間質性肺炎(NSIP)との関連が示唆されています。
長年、乾性咳嗽は間質性肺炎の症状の一つだと信じられてきました。
数年来、それぞれの病型の間質性肺炎患者の咳嗽について、その原因疾患を追求してきました(一般常識に対する挑戦的研究)。
その結果、大部分が慢性咳嗽の原因疾患による咳嗽であることが判明しました。
すなわち、間質性肺炎を軽快せしめることは不可能な場合でも、咳嗽を軽快させることは可能となった訳です。
北陸から発信されているIgG4関連疾患にも興味を持ち解析を進めています。
IgG4関連疾患の呼吸器病変として気道病変が必発であること、淡い斑状陰影、濃い斑状陰影、胸膜に接する濃度上昇などの肺陰影、肺門縦隔リンパ節腫脹は他の臓器と同様にステロイド治療によって速やかに改善するが、気管支壁肥厚や小葉中心性粒状影などのいわゆる気道陰影は改善に乏しいこと、などが明らかになりつつあります。
基礎的研究では、高戸先生は肺の線維化におけるキマーゼの役割について研究し、キマーゼが好中球性炎症を惹起することによって、TGFβを介する肺の線維化に関与していることを明らかにしました(A novel chymase inhibitor TY51469 suppresses silica-induced pulmonary fibrosis by preventing neutrophil accumulation in lung tissue. Experimental Lung Research掲載予定)。
さらに犬塚先生は「アンジオテンシン受容体拮抗薬の肺線維化抑制作用におけるACE2及びAng1-7の関与」について精力的に実験し、ARBの肺線維化抑制効果はACEの減少とACE2の増加を介するAng1-7の増加によってもたらされることを明らかにしました(学位論文投稿中)。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| 呼吸器内科