金沢大学第三内科「呼吸器研究グループ」紹介(4)
肺癌グループ(チーフ:笠原先生)
2002年9月に全く新しいタイプの肺癌治療薬ゲフィチニブ(イレッサ)が登場しました。
ゲフィチニブは著効を示しても、数ヶ月から数年の内にその効果が消失しますが、次の戦略をどうするかが重大な問題となっています。
そこで、酒井(麻夫)先生は、EGFR-TKI耐性株を用いて、抗がん剤感受性とその機序を明らかにする研究を行い、ゲフィチニブ耐性株では抗癌剤の標的分子TopoIが高発現しているため、抗癌剤に対して高感受性を示すことを明らかにしました(学位論文完成、投稿中)。
EGFR-TKIはEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんには劇的な効果がありますが、遺伝子変異陰性の症例に対する効果規定因子を探索したところ、HGF(hepatocyte growth factor)がEGFR遺伝子変異とは独立したEGF-TKI治療の効果予測のバイオマーカーである可能性が示唆されました。
臨床研究では、
1)高齢者進行非小細胞肺癌に対する、Vinorelbine、Gemcitabine 隔週投与後、Gefitinibを逐次投与する臨床第II相試験。
2)IIIB、IV期非小細胞肺癌に対する、VinorelbineとCarboplatinの併用化学療法後Gemcitabineを逐次療法として追加する第II相臨床試験の二つは論文作成中です。
3)局所進行非小細胞肺癌に対する、Docetaxel / Cisplatin導入化学療法後Docetaxel 毎週投与併用下胸部放射線照射の逐次併用療法の検討 は、35例を集積し残り3年の経過観察中です。
4)EGFR遺伝子変異陰性非小細胞肺癌に対する、Erlotinibの有用性予測因子を探索する第II相試験―バイオマーカー研究ーを2010年夏から開始しました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| 呼吸器内科