金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年05月15日

造血幹細胞移植の夢と現実(5)同種免疫療法の限界


造血幹細胞移植の夢と現実(4)固形腫瘍(癌)
より続く

(金沢大学第三内科同門会報の教授コーナーby 中尾眞二教授より)。

 

造血幹細胞移植の夢と現実(5)

同種免疫療法の限界

全国調査によって、急性白血病の移植後再発に対してはDLIの効果が乏しいことは示されていましたが、DLIに替わる良い治療手段がないため、その後も急性白血病再発に対してDLIが行われていました。

実際には再移植によって良くなる可能性がありながら、漫然とDLIが行われたために重症のGVHDを発症し、不幸な転帰をとる例もありました。

そこでDLIによってGVHDを誘導することが、移植後再発に対して本当に有効なのかどうかを明らかにするため、厚生労働省の班研究参加施設を対象として、大量のDLIをGVHDが起こるまで繰り返し行うという臨床試験を高見君が行いました。

その結果、GVHDが起こった例では寛解が得られる確率がやはり高かったのですが、いったん改善した例であっても骨のような髄外の臓器に再発する例がほとんどであり、治癒が得られた例は皆無でした。

また寛解が得られた例の中には、重症GVHDのため高度の臓器障害を発症した例もありました。

したがって、移植後の急性白血病再発に対するT細胞のGVL効果には限界があると思われました。

 

(続く)

造血幹細胞移植の夢と現実(6)移植後再発白血病と再移植

 

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造血幹細胞移植入門(インデックス)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00| 血液内科