先天性および後天性第V因子欠損症
先天性および後天性第V因子欠損症に関する総説論文を紹介させていただきます。
第V因子欠損症に関する記事
・先天性第V因子欠損症と出血傾向
・先天性第V因子欠損症における出血症状が軽症である理由
・後天性第V因子インヒビター(PT&APTT延長)
・後天性凝固第V因子インヒビター
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「先天性および後天性第V因子欠損症」
著者名:Lippi G, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 22: 160-166, 2011.
<論文の要旨>
第V因子(FV)は、肝およびおそらく巨核球において合成されます。
FVは、向凝固および抗凝固の両面において重要な役割を演じています。
FVは、向凝固としてはプロトロンビナーゼ複合体の重要なコファクターであり、抗凝固としてはFVIIIの不活化に関与しています。
F5の遺伝子変異による第V因子欠損症はまれな先天性の凝固異常であり、出血症状は、皮下出血、外傷や術後の止血困難、重症の関節内出血と、軽度〜高度まで多彩です。
FVとFVIII両者の欠損症(F5F8Dとして知られる)は劣性遺伝し(FV欠損症とFVIII欠損症の合併ではありません)、LMAN1とMCFD2遺伝子を含む変異により、FVとFVIIIの細胞内でのプロセスに欠損があります。
一般的には、F5F8Dの症例は、出血頻度や出血程度の点で、FV欠損症、FVIII欠損症より重症ということはなく、むしろ出血傾向は軽度です。
第V因子に対するインヒビター症例は、幅広い年齢層でみられ、臨床症状も種々です。
この総説論文では、先天性&後天性第V因子欠損症の病態、診断、治療法について論じています。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 出血性疾患