金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年07月04日

慢性肝炎インターフェロン療法と第VIII&IX因子インヒビター

慢性C型肝炎患者に対してベク化インターフェロン&リバビリンによる抗ウイルス療法を行ったところ、第VIII&IX因子の両者に対するインヒビターが出現したという、ちょっとビックリする報告です。

 

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「慢性C型肝炎に対するペグ化インターフェロン&リバビリン療法に伴う第VIII&IX因子インヒビター

著者名:Campos-de-Magalhaes M, et al.
雑誌名:Hematology 16: 80-85, 2011.


<論文の要旨>

凝固因子に対する自己抗体の出現は、きわめてまれです。しかし、一旦出現すると致命的な出血をきたすことがあります。

凝固因子に対する自己抗体は第VIIIに対するものが最も多く、他の凝固因子に対してはまれです。

第VIII&IX因子に対するインヒビターは、血友病A&Bに対して補充療法を行った場合に多いです。


著者らは、血友病ではない慢性C型肝炎患者に対してベク化インターフェロン&リバビリンによる抗ウイルス療法を行ったところ、第VIII&IX因子に対するインヒビターが出現した症例を報告しています。

第VIII&IX因子活性はともに1%未満となり、高力価の自己抗体が検出されました。

抗ウイルス療法による持続した効果が得られた後に、副腎皮質ステロイドとアザチオプリンによる免疫抑制療法が行われました。

その結果、インヒビターは消失しました。


慢性C型肝炎に対する抗ウイルス療法とインヒビター発症との関連は明らかでありませんが、凝固異常が進行するHCV感染者(特に治療と関連した血小板数低下がみられた場合)に遭遇した際に、凝固因子インヒビターの可能性を鑑別に加えるべきと考えられました。

 
 
 【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05| 出血性疾患