金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年07月05日

小児血友病Aの予防治療:無作偽臨床試験(ESPRIT試験)

成人血友病における予防治療の有用性は明らかになっていますが、小児における有用性は不明でした。今回紹介させていただく論文は、小児の重症血友病Aにおける予防治療の有用性について論じています。

 

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「小児血友病Aにおける予防治療の無作偽臨床試験(ESPRIT試験)」

著者名:Gringeri A, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 9: 700-710, 2011.


<論文の要旨>

血友病治療の大きな目標は、関節症の発症を阻止することです。

成人血友病における予防治療の有用性は明らかになっていますが、小児における有用性は不明です。

著者らは、小児の重症血友病A(FVIII<1%)に対して、予防治療または出血時治療を行い、血友病性関節症の進展や画像学的関節障害への影響を検討しました。


登録時に臨床的または画像学的関節傷害がなく、最近6ヶ月間に少なくとも1回以上の関節内出血がみられた小児重症血友病45症例(1〜7才;中央値4才)を、A群(遺伝子組換え第VIII因子製剤25IU/kgを3回/週予防投与)またはB群出血時に25IU/kgを完全止血が得られるまで12〜24時間ごとに輸注)に分類しました。

A群は21症例、B群は19例となりました。


A群においてはB群と比較して、関節内出血は有意に少なく(0.20 vs 0.52回/患者/月;P<0.02)、X線評価による関節障害は有意に少なかったです(29% vs 74%;P<0.05)。

早期(36ヶ月以下)に予防治療が開始された場合には、関節内出血が低頻度であり、X線による所見がみられていない症例においてより有効でした。


以上、小児重症血友病Aにおいて、特に早期に開始された場合には、予防治療は、関節内出血や関節症を阻止するのに有効と考えられました。

 
 
 【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15| 出血性疾患