金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年09月10日

血液内科試験(BSL評価):血小板数低下


内科学卒業試験(BSL評価試験)血液内科学の問題紹介と解答を続けます。

今回の問題は、血小板数低下をきたす疾患です。


11.    血小板数低下をきたす疾患に関する記載として正しいものはどれか.1つ選べ.

a.    HELLP症候群の3徴候は,溶血,腎不全,血小板数低下である.
b.    挙児を希望する抗リン脂質抗体症候群(APS)の女性患者に対しては,ワルファリンの内服とへパリン皮下注の併用が有効である.
c.    特発性血小板減少性紫斑病(ITP)においては,血小板分布幅(platelet distribution width:PDW)が上昇する.
d.    溶血性尿毒症症候群(HUS)では抗ADAMTS 13抗体が出現する.
e.    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)でピロリ菌感染が証明されれば,除菌療法が約5割の症例で血小板数を上昇させる.

 

解説)

a.  HELLP症候群の3徴候は,hemolysis(溶血)、elevated liver enzyme(肝障害),low platelet(血小板数低下)です(参考:金沢大学血液内科過去問題の解説:TTP、HUS、HELLPなど)。

b. 抗リン脂質抗体症候群(APS)では習慣性流産がみられます。ただし、ワルファリンには催奇形性の副作用があるため、挙児希望の女性には使用できません。

c. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)においては、血小板分布幅(platelet distribution width:PDW)および平均血小板容積(mean platelet volume:MPV)が上昇します。

d.  抗ADAMTS 13抗体が出現するのは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)です。

e. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、ピロリ菌感染が証明されれば,除菌療法が約5割の症例で血小板数を上昇させます。

 

正答) c

 

【リンク】

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| 医師国家試験・専門医試験対策