金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年09月28日

後天性von Willebrandの病態生理

後天性von Willebrand病に関する論文紹介を続けたいと思います(参考:後天性von Willebrand病の治療

先天性von Willebrand病に関する論文はコンスタントに登場していると思いますが、最近は後天性von Willebrand病関連の論文を目にすることが多くなったように思います。

 

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「後天性von Willebrandの病態生理

著者名:Shetty S, et al.
雑誌名:Eur J Haematol 87: 99-106, 2011.


<論文の要旨>

後天性von Willebrand病(AVWD)は、まれで見逃されやすい出血性素因です。先天性VWDと臨床症状や血液検査所見が類似しています。

しかし、AVWDでは、家族歴や遺伝的背景がないことが大きな相違点です。

発症機序は多様ですが、骨髄増殖性疾患や心血管疾患に合併することが最も多いです。

その他の基礎疾患としては、自己免疫性疾患(SLEなど)、甲状腺機能低下症、悪性疾患、などが知られています。

また、薬物に起因すると思われる症例も存在します。


AVWDの発症機序は基礎疾患により異なっていたり、あるいは重複していることもあります。

明らかにされている発症機序としては、自己抗体の出現、von Willebrand因子(VWF)高分子マルチマーの選択的吸着、VWFの非特異的吸着、高ずり応力におけるVWFの機械的破壊、蛋白分解の亢進などが挙げられます。

 

 
 
【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59| 出血性疾患