大動脈弁狭窄症と後天性von Willebrand症候群(AVWS)
今回も、後天性von Willebrand病に関する論文です(参考:後天性von Willebrand病の治療)
大動脈弁狭窄症と後天性von Willebrand症候群(AVWS)の話題です。
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「大動脈狭窄症におけるVWF異常」
著者名:Casonato A, et, al.
雑誌名: Thromb Haemost 106: 58-66, 2011.
<論文の要旨>
後天性von Willebrand症候群(AVWS)は重症の大動脈狭窄症(AS)に合併することがありますが、より止血効果の強いvon Willebrand因子(VWF)高分子マルチマーの減少によると考えられています。
著者らは、重症ASにおけるVWF異常と出血症状の関連について検討しました。弁置換術施行のAS 41症例が対象となりました。
VWFコラーゲン結合能(VWF:CB)/VWF抗原比の低下が10例(24.3%)、VWF高分子マルチマーの低下が33例(80.5%)にみられました。
VWF高分子マルチマーの低下は、VWF低分子マルチマーの増加を伴っていませんでしたし(VWFの蛋白分解亢進は否定的)、また、VWFプロペプチドの増加もありませんでしたので、VWFの半減期が短縮しているとも考えられませんでした。
VWF異常は、リウマチ性弁膜症、および弁の血管内皮50%未満の症例で多くみられました。
出血症状がみられた症例では、弁前後の圧較差が大きく、VWF高分子マルチマーの低下がより高度でした。
VWF異常の存在は周術期の出血量を増加させませんでしたが、術後1日目よりVWF異常は消失し6ヶ月後でも持続していました。
以上、重症AS(特にリウマチ性)ではVWF異常が高頻度にみられましたが、高分子マルチマーが低下していることと出血症状の関連はみられませんでした。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:17| 出血性疾患