出産時出血
論文紹介を続けさせていただきます。
今回は、出産時出血に関する論文の紹介です。
関連記事:
先天性血栓性素因と病態、血友病、後天性血友病、抗リン脂質抗体症候群、止血剤の種類、臨床検査からみた血栓症、血液凝固検査入門、深部静脈血栓症/肺塞栓、rFVIIa
「出産時出血」
著者名:McLintock C, et al.
雑誌名: J Thromb Haemost 9: 1441-1451, 2011.
<論文の要旨>
出産前後の産科的出血が知られていますが、80%以上は出産後に起こります。
世界的には、産科的大量出血に伴う母体死は年間358,000人ですが、その25%は、産科的止血、観血的および全身的止血治療の失敗が原因です。
ほとんどの女性では明らかな出血危険因子を持っていないかも知れませんが、出産後出血(PPH)診療の第1歩は、危険因子のチェックです。
PPHの危険が高いと診断された場合には、熟練したスタッフがおり、緊急輸血が可能なセンターで出産すべきです。
産科における大出血の原因として多いのは播種性血管内凝固症候群(DIC)です。
PPHにおける大出血に対する輸血法は、他の病態に対する輸血法と同様ではありますが、症例によっては赤血球輸血量と血漿(フィブリノゲン製剤を含む)輸注量との比に留意が必要です。
PPHに対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)(商品名:ノボセブン)投与のタイミングにも注意する必要があります。
胎盤剥離や子宮破裂に起因する大出血時には子宮摘出術が推奨されます。
しかし、出血が持続する子宮弛緩では、子宮摘出術を行う前にrFVIIaを考慮すべきと考えられます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 出血性疾患