金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年10月04日

ロミプロスチム(トロンボポエチン受容体作動薬、ロミプレート)


論文紹介を続けさせていただきます。

今回は、ロミプロスチム(トロンボポエチン受容体作動薬、商品名ロミプレート)に関する論文の紹介です。

 

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慢性ITP(成人日本人)に対するロミプロスチム治療(二重盲見無作為第3相臨床治験)

著者名:Shirasugi Y, et al.
雑誌名:Int J Hematol 94: 71-80, 2011.


<論文の要旨>

ロミプロスチム(トロンボポエチン受容体作動薬、商品名ロミプレート)の、慢性ITP(成人日本人)に対する二重盲見無作為臨床治験が行われました。


ITP34例に対して、ロミプロスチム(n=22)またはプラセボ(n=12)が12週間投与されたました。

ロミプロスチムの投与は3μg/kg(1週間に1回)から開始されました。

主要評価項目は、血小板数の反応(血小板数5万/μL以上となるまでの週)としました。

対象となった症例では、過去に中央値4種類(1〜19種類)の治療を受けていました(摘脾術施行例44%を含む)。68%の症例では複数の併用療法が行われていました。


その結果、血小板数の反応がみられた中央値はロミプロスチム投与群では11週であったのに対し、プラセボ投与群では反応はみられませんでした。

ロミプロスチム投与のほとんどの症例(95%)で血小板数の反応がみられました。

救済治療が必要であったのは、ロミプロスチム投与群では9%に対して、プラセボ投与群では17%でした。

有害事象出現率は、ロミプロスチム投与群91%、プラセボ投与群92%と同程度でした。

ロミプロスチム投与群で高頻度(>10%)にみられた有害事象は、咽頭喉頭炎、頭蓋、末梢浮腫、背部痛、四肢痛でした。


以上、ロミプロスチムは日本人ITP症例に対して血小板数を有意に上昇させるものと考えられました。



【リンク】

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44| 出血性疾患