金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年10月06日

血友病A & von willebrand病とデスモプレシン(DDAVP)

論文紹介を続けさせていただきます。

今回は、血友病Aおよび von willebrand病に対するデスモプレシン(DDAVP)の安全性と有効性を調査しょた結果の報告です(参考:止血剤の種類と疾患)。


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軽症・中等症血友病AおよびType1・Type2A von willebrand病に対するデスモプレシン注4協和の使用成績調査

著者名:中目暢彦、他。
雑誌名:日本血栓止血学会誌 22: 194-201, 2011.


<論文の要旨>

軽症・中等症血友病AおよびType1Type2A von willebrand病患者を対象に、デスモプレシン注4協和の市販後使用実態下における安全性と有効性を確認することを目的として、レトロスペクティブに国内使用成績調査を実施しました。


10年間の調査期間中に全国83施設より234例が本調査にエントリーされました。

安全性解析対象症例212例中、副作用は66例(31.13%)、139件に認められた。

頻度順に顔面潮紅39件(18.4%)が最も高く、次いで熱感27件(12.7%)、のぼせ(感)18件(8.5%)、頭痛13件(6.1%)、乏尿12件(5.7%)、嘔気7件(3.3%)、口渇7件(3.3%)等でした。


その他、痙攣が2件に認められました。そのうち1件は、輸液療法が適切に行われていれば痙攣発作に至らなかった可能性があり、本剤投与前後の輸液療法及び飲水摂取に十分注意する必要があると考えられた。


止血効果(有効率)は、血友病Aの軽症で65.2%、中等症で62.5%でした。

また、von Willebrand病のType1で93.1%、Type2Aで94.7%でした。


凝血学的検査改善度(改善率)は、血友病Aで76.5%、von Willebrand病のType1で85.7%、Type2で100%でした。



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患