金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年10月07日

外傷(凝固異常)へのプロトロンビン複合体製剤とDIC

論文紹介を続けさせていただきます。

出血性凝固異常の病態に対してプロトロンビン複合体製剤(PCC)の頻用頻度は増加していますが、外傷に対するPCC使用に関する臨床試験はほとんどなく、特に安全性に関する情報は欠落してます。

今回紹介させていただく論文は、鈍的肝損傷と凝固異常を有するブタモデルに対して、プロトロンビン複合体製剤を投与した場合の、効果、副作用に関して検討しています。

Bloodからの論文です。

 

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高用量プロトロンビン複合体製剤は、鈍的肝損傷と凝固異常を有するブタモデルにおいて
DICを誘発する

著者名:Grottke O, et al.
雑誌名:Blood 118: 1943-1951, 2011.


<論文の要旨>

出血性凝固異常の病態に対してプロトロンビン複合体製剤(PCC)の頻用頻度は増加していますが、外傷に対するPCC使用に関する臨床試験はほとんどなく、特に安全性に関する情報は欠落してます。


著者らは純的肝外傷と凝固異常を有するブタモデルを用いて検討しました。

麻酔されたブタ27頭において、70%の血液をhydroxyethyl starch 130/0.4とリンゲル乳酸溶解液で置換することで凝固異常が誘発されました。

赤血球は回収されて再度輸注しました。

外傷10分後に、ブタモデルはPCC(35 or 50 IU/kg)または生食の投与を受けました。

トロンボエラストメトリー、トロンビン形成試験を含む凝血学的パラメーターが、2時間追跡されました。

塞栓や肝障害の有無につき、肉眼的、病理学的に評価されました。


その結果、出血量および死亡率はPCC投与群で有意に低い結果でした(ただし用量依存性はありませんでした)。

PCC 50IU/kg投与群では全てのブタに血栓塞栓症がみられ、44%ではDICの所見がみられました。肝障害は全頭において同程度でした。


以上、PCC 35IU/kgであれば安全に凝固異常および失血を軽快させますが、高用量(50IU/kg)は血栓塞栓症およびDICのリスクを増加させるものと考えられました。



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44| 出血性疾患