後天性血友病Aの治療(総説)
論文紹介を続けさせていただきます。
今回の論文は、J Thromb Haemost に報告された、後天性血友病に関するreview論文です。
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「後天性血友病Aの治療」
著者名:Collins PW.
雑誌名: J Thromb Haemost 9 Suppl 1: 226-235, 2011.
<論文の要旨>
後天性血友病は、第VIII因子に対する自己抗体が出現する自己免疫性疾患です。
出血症状の出現の仕方は様々ですが、患者はインヒビターが消失するまでは致命的な出血をきたす危険性があります。
治療の基本は、以下の通りです。
(1)迅速で適格な診断
(2)止血管理
(3)基礎疾患の有無の精査
(4)免疫抑制療法によるインヒビターの除去
仮に出血症状がない場合であっても必ず専門家のもとで治療されるべきです。
本疾患に関する文献は多数あるものの、エビデンスとなるような臨床試験はほとんどなく、治療ガイドラインも専門家の意見に依存しているのが現状です。
止血治療目的には、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)や活性型プロトロンビン複合体製剤が同程度に有効であり、第VIII因子濃縮製剤やデスモプレシンよりも有効です。
診断後には速やかに免疫抑制療法を行う必要があります。
通常、ステロイド単独治療またはステロイド&エンドキサン併用療法がよく行われます。
近年、リツキサンの使用頻度が増えていますが、効果、副作用の面で従来の治療よりも優れているかどうかはエビデンスがありません。
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:45| 出血性疾患