胎児期および新生児期の血友病治療ガイドライン(前半)
論文紹介を続けさせていただきます。
胎児期および新生児期の血友病治療ガイドライン(前半)を紹介させていただきます。
Br J Haematol に報告されたガイドラインです。このブログ記事ではポイントのみを紹介させていただきます。
是非とも、原文にあたっていただければと思います。
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「胎児期および新生児期の血友病治療ガイドライン(前半)」
著者名:Chalmers E, et al.
雑誌名:Br J Haematol 154: 208-215, 2011.
<論文の要旨>
1.出生前の注意
• 血友病センターと密接に連絡をとり合って血友病胎児または可能性のある胎児であることに注意を払う(1C)。
• 文書で治療計画書を準備する。この計画書は、熟練したチームからの情報を反映すべきであるし、母体および新生児の止血管理について記載されるべきである(1C)。
2.遺伝子スクリーニングと胎児の性別
• 妊娠10週時の母体採血(Y染色体特異的なDNAシークエンスをチェック可能)または18〜20週時の超音波検査により、性別を確認すべきである(1C)。
• 血友病男性胎児であるかどうかにより出産時の対処法が変わると予想される場合には、妊娠後期に羊水穿刺が考慮されることもある(2C)。
3.出産時の注意
• 産科的および止血学的要因により出産法の情報を提供する。血友病胎児であること自体は経膣分娩を適応外とはならない(1C)。
• 新生児の頭蓋内出血のリスクを低下させるために帝王切開が考慮されることがある。この場合、胎児の血友病の状態と母体の状態を考えて、個々の症例毎に検討する(2C)。
• 吸引分娩や鉗子分娩は出血のリスクを上昇させるので避けるべきである(1A)。
• 観血的な分娩モニタリングは避けるべきである(1C)。
• 分娩の対処法は、必ず専門家にコンサルトすべきである(1C)。
4. 新生児の血友病診断
• 出産後できるだけ早く臍帯血を用いて血友病の診断を行う(1C)。
• 結果は、年齢(妊娠週)の一致した基準値と比較して判断されるべきである(1B)。
• APTTの結果の如何にかかわらず、臍帯血を用いてFVIII/IX活性の測定を行うべきである(IC)。
• 血友病が否定されるまでは、ビタミンKの筋注を保留する。診断が遅れたり、血友病が確診された場合には、経口的にビタミンKを投与する(1C)。
5.血友病新生児の止血治療
• 血友病A/Bに対して遺伝子組換えFVIII/IX因子製剤が治療選択肢となるため、スタンバイすべきである(1C)。
• 新生児の凝固因子活性が理想値に達するために高用量の凝固因子製剤を必要とするかどうか、血中半減期が短いかどうかについて、新生児期間中に補充療法のモニタリングが行われるべきである(2B)。
• 血友病の確定診断前に止血治療が必要になった場合には、FFP15〜25ml/kgが考慮される(1C)。
• 血友病新生児の治療としてデスモプレシンは投与されるべきでない(1C)。
• 他の新生児疾患スクリーニングのための足踵からの採血や静脈採血を省略すべきではない(1C)。
(続く)胎児期および新生児期の血友病治療ガイドライン(後半)へ
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38| 出血性疾患