胎児期および新生児期の血友病治療ガイドライン(後半)
論文紹介を続けさせていただきます。
Br J Haematol に報告された胎児期および新生児期の血友病治療ガイドライン(前半)の続きです。
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「胎児期および新生児期の血友病治療ガイドライン(後半)」
著者名:Chalmers E, et al.
雑誌名:Br J Haematol 154: 208-215, 2011.
<論文の要旨>
6.頭蓋内出血と頭蓋外出血の早期診断・予防
• 臨床的に頭蓋内出血(または他の出血)が強く疑われた場合には、凝固因子製剤を速やかに投与すべきである(画像診断による確認まで保留してはいけない(1C)。
7.頭蓋内出血の放射線学的診断
• 全ての重症および中等症血友病において、娩出前に頭蓋超音波検査を行うべきである(2C)。
• 超音波検査は硬膜下血腫の検出感度が低いために、超音波検査が正常であっても症状のある新生児では脳MRIまたはCTを行うべきである(1C)。
8.凝固因子製剤による新生児の予防治療
• 血友病確診後に、出血リスクの高い新生児では短期間の予防補充療法を行うべきである。例えば、出産児に損傷があった場合、機器(とくに吸引分娩や鉗子分娩)を用いた分娩、娩出に時間を要した場合などである(1C)。
• 早産の場合も短期間の予防補充療法を行うべきである(1C)。
9.診断の情報開示
• 血友病新生児の両親に対して、診断や出血症状の特徴などについて、退院前に情報提供すべきである(2C)。
• 退院前に血友病専門家による経過観察がなされるように手配すべきである(2C)。
10. 女性新生児のキャリアー
• 血友病キャリアまたはキャリアの可能性のある新生女児では出血の心配はなく、通常の産科的および新生児の対処法でよい(1C)。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47| 出血性疾患