2011年10月18日
TM製剤の臨床試験:トロンボモジュリン製剤(6)
抗炎症作用:トロンボモジュリン製剤(5)より続く。
遺伝子組換えTM製剤と第III相臨床試験結果
遺伝子工学的手法で作製された遺伝子組換えTM製剤(recombinant thrombomodulin:rTM) は、TMの活性部位を含む細胞外部分の全ての領域を含んでいます。
したがって、rTM(リコモジュリン)はTMの持つ抗凝固作用、抗炎症作用両者を有しているわけで、この多面的な作用を利用してDICの新たな治療戦略の一つとして登場したわけです。
rTMの第III相臨床試験(Saito, H. et al.: J. Thromb. Haemost., 5:31-41, 2007)は、造血器悪性腫瘍および重症感染症を基礎疾患としたDIC(n=234)を対象として、rTM(0.06 mg//kg/日)または低用量未分画ヘパリン(8 U/kg/時間)を6日間投与し、二重盲検無作為にて行われました。
その結果、rTM投与群でのDIC離脱率が66.1%であったのに対して、ヘパリン投与群でのDIC離脱率は49.9%と、ヘパリン群に対して初めて非劣性が検証されました。
また、rTM投与群では出血症状の改善が有意に高率でした(p=0.0271)。
出血症状に関連する有害事象は、rTM投与群では43.1%に対して、ヘパリン投与群では56.5%と有意差を認めています(p<0.0487)。
TMは、トロンビンの存在下で初めて有効な抗凝固活性を示すため、出血の副作用が少ないと考えられます。
このように、DICに対するrTMの投与は、DIC離脱率そして出血の軽減の観点から優れた効果を発揮することが示されたわけです。
参考:リコモジュリン
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44| DIC