金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年11月30日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(1)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便りをお届けしたいと思います。

当科の中尾眞二教授からのメッセージです。



臨床医の研究と専門性(1)
 

大学で教員をしていることの楽しみの一つは、毎週ベッドサイドの実習にやって来る学生達と色々な話ができることです。

既に自分の子供たちよりもずっと若い世代に入っていますが、個性豊かな学生と話をしていると、刺激を受けることが少なくありません。

最近、ある熱心な学生から「大学病院で臨床をしながら、一流の研究を並行して行うことは可能なのでしょうか」と聞かれたことがありました。

どちらも中途半端な自分にとっては耳の痛い質問でしたが、自分なりの回答をしました。

その回答はのちに紹介するとして、丁度良い機会なので、臨床医にとって研究とは何かというテーマを、自分の経験を紹介しながら考えてみたいと思います。



臨床家がなぜ基礎研究?

なぜ研究をするか、という動機は人によって様々です。

大学に長く残っている人にもっとも多いパターンは、元々サイエンスに関心があったが、臨床にも興味があるので、取り敢えず臨床の教室に入って研究を始めたところ、研究が面白くなったため、臨床と基礎研究の二足のわらじを履いている、というものではないかと思います。

その中には、臨床にかける時間が惜しくなって基礎に転向し、その結果成功している著明な研究者も沢山います。

しかし、臨床教室にいる医師の多くは、研究室にばかりいて病棟に来ない、とか、NatureやNew Engl J Medなどの一流雑誌に載るような仕事をしている訳でもないのに患者さんを診ない、などのような誹りを受けながら、二股をかけているのが実情ではないかと思われます。

なかには、完全な基礎研究志向でありながら、基礎だけの世界でやっていくよりも、臨床の教室に身を置いている方が、競争率が低くてアカデミアの世界に残りやすいからそうしている、と公言する研究者もいます。


私の場合は、元々科学的探究心は強い方ではなく、医学部を卒業する時に研究者になろうという気持ちはほとんどありませんでした。

ただ、私が専門としている血液内科では、治らない悲惨な病気が数多くある一方で、一工夫すれば助けられるということが、しばしば起こり得ます。

血液内科が、研究的な仕事ができる環境に身を置くことによって良い臨床ができるという性格の診療科であったことが、あまり向いていない研究の道に自分を向かわせて来たようです。


(続く)金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(2)


【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| 血液内科