2011年12月01日
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(2)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(1)より続く
臨床医の研究と専門性(2)
臨床教室の研究
この記事を読んでいる人の中には、これから研究生活に入るかどうかを迷っている人もいるはずなので、臨床教室の大学院がどういうものかを紹介しておきます。
臨床教室の大学院に入ると、入院患者さんの診療を担当しないベッドフリーの期間が2年前後与えられ、その期間内に学位研究を仕上げるのが一般的です。
ただ、ベッドフリーの期間や、その期間中に外来・当直などの義務があるかどうかなどは教室の事情によって大きく異なります。
診療人数に余裕がある教室では、数年間完全に基礎の研究室で(アルバイトだけしながら)過ごすところもあります。
私自身は、昔から人の少ない三内で育ちましたので、研究だけをしていた期間は大学院時代もほとんどありませんでした。
当時の三内では、論文が書けるだけのデータが出ると、その時点で入院患者さんを担当することになっていました。
このため、実質的な研究期間も1年半ほどだったと思います。
もっとも、その頃三内で行われていた骨髄移植はまだ実験段階の治療でしたので、患者さんを担当していても研究をしているような気分ではありました。
そのような中途半端な研究期間では底辺の広い基礎研究は行えませんが、臨床志向の強い私のような人間には、診療しながらの研究というのが性に合っていたようです。
研究だけの生活が自分に向いていないことは、のちに米国に留学する機会をもらい、臨床に全く関わらない生活を2年間送った際にも感じました。
アルバイトも当直もしない生活は気楽で余裕もあったのですが、病気という目の前の動機がないためか、今一つ研究に身が入りませんでした。
大学に戻ってからは、研究に割ける時間は3分の1以下になりましたが、診療を通じて様々なアイデアが湧いてくるために、それを研究で実証することに楽しみを見出せるようになりました。
(続く)金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(3)へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:51| 血液内科