2011年12月02日
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(3)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(2)より
臨床医の研究と専門性(3)
専門分野が狭くなる理由
今回の記事や三内のブログでもたびたび紹介してきましたが、臨床医が行った研究の成果は、発表された雑誌のランクではなく、それがどの程度臨床の役に立つものかで評価されるべきだと私は考えています。
いくらよい雑誌に論文が掲載されても、それが診療の役に立たなければ、診療の合間に(患者さんを診る時間を犠牲にして)研究をしている臨床家の仕事としては価値が低い。
ただ、臨床の役に立つ仕事であれば業績はどうでもよいかというとそうではなく、インパクトファクターの高い雑誌に論文が載らないと、科学研究費のような競争的研究資金が獲得できません。
このため、比較的早く診療の役に立つ研究成果を、それなりにインパクトファクターが高い雑誌に発表していくことが必要です。
ただし、これは他の研究者との競争になるため、なかなか容易ではありません。
本当は色々な病気の研究もしたいのですが、研究費を獲得して研究を続けるためには、限られた領域を深く掘り下げることによってユニークな成果を挙げる必要があります。
その結果として、臨床家の研究分野はどうしても狭くなります。
私の場合、その領域は骨髄不全と造血幹細胞移植ということになります。
(続く)金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)教授便り(4)へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01| 血液内科